2000. 7. 2/渋谷DeSeO



個人的な話になって申し訳ないけれど。
私の仕事の一つに、このa&pホームページ用ライブ・レポートを書く、というのがある。通常、ライブ評を書く時というのは、曲順表を片手にメモを取りながらライブを見るのだと思うのだけど。私は、a&pに限らず、絶対にメモを取らない(リハーサルの風景なんかは、割とメモっておく、こともある)。どうしてかと言うと、普通、お客さんは、メモ取りながらライブ(だけじゃなく映画とか舞台とか全てにおいて)見たりしないから。私は、お客さんと同じ空気で感じ取ったことを書きたい。ただただ、目の前で起こっている出来事を全部見つめていたい。だから、メモは取らない、取りたくない。

…と、普段から思っているのだけれど。
うーん、今日だけは、メモっておけば良かった! と、後悔しきりなのだ。


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何故なら、4か月ぶりのa&pのステージは、瞬く間に通り過ぎて行ってしまったから。
コユキ@マネージャー曰く、今日の「アウトサイド・a&p」は、本当にもの凄い、フル・スピードで。
”さよならサンタの叔父さん”から始まっての約30分、息をつくヒマもない! とは、まさにこのことか、と思うほど。

現在のa&pの、テーマというか気持ちというか…、そういった雰囲気を一言で表すとなると、きっと「勢い」という言葉が一番ピッタリくるんじゃないかと思う。
バンッとステージに出て行って(今日はセッティングから全員ステージに上がって行って、そのまま幕が開いてスタート…というa&pにしては珍しい形だった)、ガッと4人で音を出して。それだけで滅茶苦茶カッコイイだろ俺達! みたいな自信から来る、「勢い」。

(そういえば、後から岡田くんに聞いたところによると、本当はMCも全くナシの予定だったそうで。「チューニングが長引きそうだったから磯に振ったんだけどさー、相変わらず投げっぱなしだったよね、磯の選挙MC(笑)」)

それから、a&pの永遠のテーマであり、a&pに触れた人々、誰もが思い描く言葉、「エバーグリーン」。
それは、キラキラしたメロディに限らず。
a&pから吐き出される言葉のひとつひとつは、いつの時代にも、どんな世代にも、対応している。時代の先を見るのと同時に、昔の自分を振り返り、今の心のひだを切り取っている。
だからa&pの歌は、いつ、どんな状況でも、心のどこかに響いてくる。そしてそれは、いつも形を変えてくる。甘酸っぱいけど、ちょっぴり辛い。

その「エバーグリーン」に、現在進行形で「勢い」が乗っかって来てる現在のa&pは、当たり前のようにフル・スピードで突っ走ってゆく。

でもでも、そこはa&p。
押せ押せばっかりじゃなくて、グッと聴かせるところはじっくりと聴かせてくれる。
だからこそ、余計に「勢い」が感じられる訳で。
そこらへんの緩急の付け方なんかは、もうまさにベテランの域に達してるようにも思える。
次は何が飛び出すの? と、ドキドキしながらも、安心出来るというか。
この「安心」という言葉は、「信頼」という言葉に置き換えてもいいのだけれど。
「絶対、何かやってくれる!」という、ドキドキと信頼感。
それが、現在のa&pには、ある。
そして、a&pだけが持っている、いや、a&pにしか持つことの出来ない、勢いあふれる、エバーグリーンなボイルド・ポップを、私は信じている。

そんなことを改めて感じながら、メモを取ってないことを後悔しながら、私は今夜のステージを見つめていた。