1997. 3. 7/新宿POWER STATION



なんだか知らないが、私が好きなアーティストというのは、やたらにパワーステーションでライブをやることが多い。マンスリーやらウィークリーやら、そういや十番勝負とかいうのをやったアーティストもいたな。
そのパワステで、アップル&ペアーズが、初めてライブを行う。しかも、「ライブ¥999」と題された、ワンマン・ライブ。
お客さんは入るのだろうか?メンバーは緊張したりしないだろうか?
ちょっと心配になりつつも、めちゃくちゃ期待している自分がいた。仕事で無期限の地方出張の真っ最中にも関わらず、ライブに合わせて東京へ帰ることにしてしまったくらいだ。
オレの気合は充分だぞ。

開演時刻の30分程前に楽屋へ顔を出す。くだらない話で盛り上がりつつも、多少は緊張してるんだろうな……といった面持ちのメンバー。私もちょっと、緊張している。
しかし、この緊張感、なんだか凄く心地よい。

この日のステージ、私は途切れ途切れでしか、観ることが出来なかった。
その細切れの記憶の中のメンバーは、やっぱり少しだけ、カタくなっていた。そのカタさが客席にまで伝染っしまっていて、でもそれがなんだか微笑ましくって、私は一人、ステージと客席を交互に眺めながら、笑っていた。

初のパワステ・ワンマンが、成功だったかどうかは、私には解らない。
というより、ライブの成功が何を指すのか、私には解らない。
だが、とにかく、a&pの連中は、今夜のステージをやってのけた。
その事実だけで、良いのではないか。

終演後の楽屋は、関係者でごった返していた。
廊下で一人、ぼんやりしているしかない私は、ちょっとだけメンバーが遠くなったように思っていた。
でも、それでいいのだ。
もっともっと、ずぅっと遠くに走って行ってもらわなきゃ。
そのスタートラインが、パワステのステージに引かれていたのが見えた。