1997. 3.28/渋谷ON AIR nest



会社でぽけっとMacに向かっていたら、携帯が鳴った。昼間にあたしの携帯鳴らす奴は、この世に3人しかいない。…というより、オレの携帯鳴らす奴なんて、その3人以外にあんまりいねぇんだけどよ(苦笑)。
案の定、小松田@マネ嬢から。今日のあたしの会場入り時刻&仕事内容についての確認であった。今日の仕事は、ステージ周り(なんで来ねえんだよ>大谷)と受付。よっしゃぁ!と電話を切り、またもMacの前でほげほげする。

今日の俺様は、媚びを売るかのようにアップルピー(白井プロデューサー命名の呼び名)Tシャツ着用。気合いが入ってるというより、単なるビンボーだと思う(笑)。もっとノベルティ作ってくださいませ>ポリスター様。よろしくお願いいたしますぅ。

18:30頃、Macとデジカメ持って、会場である渋谷nestへ到着。小松田@マネと最終の打ち合わせをしてから楽屋へ行き、ステージ・ドリンクの確認。G.磯山はミネラル・ウォーター、B.ノリスケ&Dr.英はウーロン茶、そしてVo.岡田は「紅茶。あったかいヤツ早めに買って冷ましといて」…珍しいボーカリストっつーかミュージシャンだな(笑)。妙なところでツッコミやすいヤツではある(笑)。
それぞれ順番にヘアメイクを済ませ、本番に備える。相変わらず「客席の様子見て来て」との注文あり。気が小さいのか(笑)?そんなこと気にしなくてもステージが良けりゃいいじゃん、と心の中で思うあたし。だって、大阪W'OHOLのライブからこっち、大ファンなんだもーん(じゃぁ、その前はどうだったんだ?というツッコミは受付不可)。
今回は、この後の名古屋&京都を一緒に廻るbrats on Bと対バン。そっちの方がお客様が多いので、ちょっと悲しがる皆さんではあるが、動員数なんて関係ない!いいステージが出来れば、それでいいのだ。ね。
本番前の楽屋は、いつも緊張と和みが同居している。あたしは和み担当と自負してはいるのだが…どうなんだろう。単に悪ふざけしてるだけかもしれない。ま、いっか(お気楽)。特に今回は、楽屋のブレーカーが落ちて、しばらくの間あたしと英のライターで灯りを採る、というオマケつきであった(笑)。

STAGE さて、本番の開始。いつもSEに合わせて1人1人ステージに出て行くのだが、今日は英とノリスケの時に客席が異様に盛り上がる。袖からはその様子が見えないので、異常に気にする岡田。ホンマに、何してたんだろ。
ライブ中、デジカメでステージを撮る、という無謀な行為に出たあたくし。いっぱい撮ったのだが、使えるのはかなり少ない(赤ばっか拾っちゃうから。なんとか使えそうだったのがこの写真でした→)。

今日のセットリストはいつもと少し違って、オープニングとエンディングの”ヒア・カム・ザ・ショウ・タイム”は、抜き。”ナイト・ビート”でそのまま終わる、というメニューであった。
この曲のエンディングは、本当にすさまじい。夜の冷たい空気に会場が包まれてしまい、それからだんだんと、体の芯から熱くなってくる感じ。一体何が起こったのかと、惚けてしまうこともしばしば。冷やかし気分も多少はあろうかという男性業界人ですら、このエンディングの部分になると、全員が全員、黙り込んでステージを凝視するくらいである(ちょっと例えが嫌味っぽいぞ>自分)。そんな様子を後ろから眺めるのは、はっきり言って、とぉーーっても気分がいい。それくらい、ホントにすごいのだ、この曲は。ただ、あんまりにもすさまじすぎて、2回に1回は必ず岡田のアコギの弦が切れるし、酷いときは爪が割れたりする。せっかくセットした髪はぼさぼさ、汗だくだくで、フルマラソンでもしたかのような風貌になってたりする。ま、それはそれでカッコ良かったりするんだけど。

…とかなんとか、ステージ観ながらぼやぼや考えてる場合じゃなかった。裏に廻らなきゃ。もうすぐ、曲が終わる。

急いでステージの裏に廻ったあたしより先に、岡田はステージから戻ってきていた。 ステージから、3人の演奏が聴こえている廊下で、「帰って来ちゃったー」と疲れた顔の岡田が笑っていた。あたしは笑って「いいんじゃん、たまにはさ」と応えた。

打ち上げでは、いつもみんなで、その日のアンケートを廻し読みする。案の定、「岡田さん、機嫌が悪かったんですか?」みたいなのがやたらに多かったが、あたしに言わせりゃ、いーじゃんカッコ良いんだから、ってな感じではある。ライブだもん、生だもん。何が起こるかわかんないからいいんじゃん?昔はそんなライブ、山ほどあったのにな…なんて、ちょっと年寄りっぽいかしらん。
でも、それが偽らざるあたしの感想である。趣味と仕事のギリギリのところで自分自身を表現しているのがアーティストである。オーディエンスの期待と自分の感情の狭間で、矛盾を抱えたまま、人前に出ているのがミュージシャンである。めいっぱいのテンションで唄って、いつもよりほんの少し早く「演りきった」充足感に満ちてしまったんなら、そこで帰っちゃってもいいんじゃない?自分がそうしたければ。きっちり「パッケージ」としてステージを「こなす」アーティストが多い現在、なんだか凄く、新鮮に感じるのだけど。お客さんの目なんて、気にしなくっていいよ。

…その場にいた全員が、そんな気持ちになっていたのは、”ダンシング イン ザ ストリート・パンク編”の影響なのだろうか(笑)?あたし見てないから(うちはNHKがまともに映らない)、誰かにビデオ借りなきゃ。