1999. 2. 2/吉祥寺Star Pine's Cafe



star_pine's1 ライブバンド・アップル&ペアーズの1999年は、吉祥寺Star Pine's Cafeで幕を開けた。

「ライブバンド」と私が書いたのは、何もライブ原稿だからなんかじゃない。
誰がなんと言おうと、a&pの真骨頂はライブであると、私は信じているからだ。
勿論、ディスクでもa&pの良さは充分に伝わってくるし、いくらライブバンドと云えども、1枚のシングルでしっかりと「自分達らしさ」を伝えられないバンドは、良いバンドとは呼べない。
しかし、私は、やっぱり信じている。
a&pがいちばんカッコ良くて、いちばん「自分達らしさ」を出せるのは、ライブ・ステージの上だということを。

岡田純は、よくこんなことを言う。

「自分にとっての音楽って、自分は今こういうことを考えているんだよ…っていうのを伝えるために、手紙を書いてるようなものなんだよね。たとえて言えば、シングルはハガキ、アルバムは手紙、って感じで…」

それじゃぁライブは、さしずめ、「お茶やお酒なんかを飲みながら、思いっきりぶっちゃけた話をする」…って感じなんだろうか。
岡田純が、ライブについてどういう例え方をしているのか知らないけれど、遠からず、当たっているように思う。

4人それぞれが、素顔のまんまで、饒舌になる場所。

それが、a&pにとっての、ライブ・ステージなんじゃないかと思う。


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star_pine's2 そこで、今夜のライブ・ステージだが。
夜を越えたい”でスタートした1999年初っぱなのライブは、…最初に言ってしまって良いのかどうかわからないけれど…、ただただ「素晴らしい」の一言だった。
それ以外に言葉が浮かんでこないのが、少々、悔しい。

今回のひとつめの目玉は、3月3日にリリースされる6枚目のシングル”ずっとずっと”が初披露されたことだ。
一度聴いたら頭から離れないイントロに、胸がきゅっと締め付けられるようなメロディ。
この曲を聴く度に、鼻の奥がツンとする私がいる。胸に襲ってくる、このどうしようもない切なさは、一体どこから来るのだろう。
圧倒的なポップ感に、考えている暇も与えてくれないまま、a&pは次の手を刺してくる。

さて、今日、2月2日は、岡田が敬愛するバディ・ホリーの命日である。彼は毎年、2日と3日はバディの曲のみを聴き、彼なりの追悼をしているのだとか。その為、今夜のステージは、ちょっとスペシャル・バージョン。
このために用意した、特別のSEと小道具のメガネで、”カム・オン・レッツ・ゴー”と”エヴリデイ”2曲のカヴァーと、「実はバディ・ホリーに捧げた」という”45r.p.m.”。
この、今夜のふたつめの目玉。お馴染みのカヴァー曲ではあるけれど、なんだか、いつもと違う雰囲気。
それは、彼らが普段よりも少し、「ポップスの諸先輩達」への愛情を、多めに抱いていたからかも知れない。

その「音楽への愛情」をきつく抱きしめたまま、ラストの”レインレイン”まで、a&pは突っ走った。
決して平坦とは呼べないこれまでの道のりと、辛いことばかりではなかったと思える半生を、4人それぞれがきっちりと抱え込み、それをひとつの音の塊にして、私達に届けてくれた。
その音の塊は、「まだまだ、やりたいことがたくさんあるんだ!」という叫びにも聞こえてくる。
その熱さと力強さが、”レインレイン”のエンディング、掻き鳴らされるギター2本と、全身を揺さぶるリズムに、そのまんま表れていた。
言葉もなく、客席を見るでもない、お互いの姿すら目に入っていないように映る4人が、とてつもなく大きく見えた。


a&pって、どんなバンド?…と聞かれたら、
--------a&pは、ライブバンドだ。
私は、そう答える。ずっとずっと、答え続ける。




star_pine's3 今回のおまけ。

リハーサル終了後、一服しつつ、本番についてのいろいろな確認をしている、ハナちゃん&ノリちゃん。
このノリちゃんの真剣な表情、緊張感が伝わってくるでしょう…?