a&p in L.A.!!



24日(月)

ライブ当日の朝。長い長い1日の始まりだ。
a&pの出演時間は夜の10時半から。そのため、この日は集合時間を夜の8時に設定し、各々自由行動の日。
岡田くん磯山くんは車を独占してふたりでバーバンクへ。賑やかな街並みからちょっと離れてのんびり雰囲気を満喫。8ボール(ロカビリー・ショップ)やホラー・トイ・ショップ、レコードを見たりして、ドーナッツ・ショップで食事。帰りにメルローズに廻り、磯山くんお買い物。そして磯山くん、女の人に声をかけられる! アメリカだとモテるのか?! と思いきや、「パンク・ロッカー! ビール代ちょうだい!!」と金をせびられたらしい。笑える。
その頃、徒歩でモーテルの近所の古着屋に向かった永井くん英くんは、今夜のライヴが気になり出した。気になりだしたら止まらない。ふたりでモーテルへ戻り、練習に励む。しかし、緊張というものは無いのだろうか? いつの間にか眠りに落ちていったらしい。
その頃わたしはビバリー・ヒルズへお買い物。映画に出てくるような街並みがメチャメチャキレイ。デパートのセールでアメリカ人に紛れながら手に入れた戦利品を抱え込み、帰りのタクシーの中からバンド写真&バンドビデオの撮影場所をロケハン。

それぞれのL.A.を過ごした後、予定どおり8時にモーテルを出発、出演するライブハウスルナパークへ。
現地では2月に岡田くんが来たときにお世話になった吉田さん(レコード・コレクターズ誌の”レター・フロム・L.A.”で翻訳、写真家として活躍中)とフィルに再会。もちろん岡田くん以外は初めまして。フィルはいい女を見つけると「ジュン、後ろ見てみろよ」と言いに来る。もう、テンションの高いエロおやじだ(親しみを込めて)。その現場をわたしに目撃されて「見てるだけだよー」と言い訳している、ダメな日本人みたいだ(親しみを込めて)。一応フィルの名誉のために付け足しておくけど、彼はドラマのテーマソングに曲が使われちゃうぐらい優秀なミュージシャンでもあるのだよ。
そうこうしているうちに出演時間が近づいてくる。楽屋なんか用意されてないから、裏手にあるパーキングで準備を始める。緊張を紛らわすためにビールを飲んでいた磯山くん、いきなり注意される。どうも屋根の無いところでアルコールは飲んではいけないらしい。ちなみに屋根のあるところで煙草は吸ってはいけない。自由の国アメリカでもルールはあるのだ。
そして、メンバーはステージの上へ。I.P.O.の主催者であるMr.デイヴィッド・バッシュa&pを紹介する。私には「フロム・ジャパン」しか聞き取れなかったが、客席からは歓声が上がる!
1曲目は磯山くんの新曲「Who killed pop star ?」オープニングにピッタリのかっこいいポップソング! 曲のスピードにのってステージの上もホール中もテンションが上がっていくのがわかる。いい曲だぁ、もう、初っぱなからホレボレ。続いてはこの曲をアメリカで歌うことって意外と深ぁ〜い…ということで「猿とモンキー」。この”英語・日本語論争”の意味なんて全然解んないで聞いているんだろうなー。あの日本語っぽい英語(英語っぽい日本語?)ってどういうふうに聞こえてるんだろうか? と思いつつ客席を振り返ると、知ってか知らずかアメリカ人、盛り上がり過ぎ! 「解ってんのか? おまえら?!」と心の中で思う。
さて、ここで岡田くんのMC。「日本語で歌ってるから解らないかもしれないけど、どうぞ音楽を楽しんで下さい。」と、英語で話しかける。そして拍手、通じたらしい。
続いて渋めの「JACK」からMr.デイヴィッド・バッシュのリクエストで「スクリーン」をしっとり聞かせたところで、a&pにとって、とても大事な曲「リリーフ」が始まる。この時は本当に言葉の通じない悔しさを感じた。そして最後の曲を前に磯山くんのビールの一気飲み。「ジャパニーズ・スピリッツー!!!!」とひっくり返りそうな声で叫んだが、客席が引いてしまった。彼にとっては捨て身のギャグだったのか? でもこれは後でお仕置きだろう。この空気を破るにはこれしかないでしょう、最後の曲「コースター・ライド」、カッコよすぎる!! 日本で聴くより音に現実味があるのは何でなんだろうか。やけにキラキラ、ピカピカ光っちゃってて、言葉じゃなくて音が訴えてくる感じなんだよ。「日本のKIDS、頑張ったぞー!!!」と心の中で叫んだよ。
…やっと終わった…あー終わってしまった…しかし、しかし、客席からすごい拍手。みんな立ち上がっての拍手だ! う、嬉しいー(感涙)。そしてデイヴィッドさんがステージの上へ上がってきて一言「One more…」。全く気付かない磯山くん永井くんはさっさと片づけ始めてる…。やっと周りの状況に気付いたふたりは慌ててセッティング。そして歌い始めた曲は「Baked Jam Roll」。磯山くんのギターの音がちょっと悲しく感じる。張り詰めた空気をギリギリまでひっぱると、緊張感の中に狂気が見え隠れする。最後の力を振り絞ってa&pの音を叩き付けた!
「げ、芸術は爆発だぁーー!!!」と心の中で叫んだ。(←ふざけてるわけじゃないの)
うん、カッコよかった。みんなに見せたかった。アメリカ来てよかったなー。
デイヴィッドさんがステージに上がり何か言ってるが、なんて言ってるのか全然解んない。でも、多分、絶対、誉めてくれてたんだと思うんだ。もし違ったら、今からグーで殴りに行くよ。

無事にステージを終わらせたメンバーはやっぱり裏手のパーキングで片づけを始めていた。そこへ「君たちのCDは無いのかい?」とやって来たのは何と元ミレニウムジョーイ・スティック氏、それと元ジャームス(伝説の元祖(!)カリフォルニア・パンク・バンド)のDrm.のドン。特にミレニウムはタウン情報おかやまのレギュラーコラムの第1回で岡田くんが紹介しているバンドだ。すごい、すごすぎる。こんなすごい出会いが向こうからやって来た後、緊張の糸が解けたのかタガを外したように浮かれはじめるメンバー。すっかり酔っ払ってる磯山くん永井くんを中心に共演のベアリー・ピンク(fromフロリダ)とおおいに盛り上がり記念撮影大会。もう、みんなメチャメチャいい奴等!
そういえば今回アメリカでやたらミュージシャンに言われていたのが、a&pってシカゴ出身のバンドっぽいんだそうだ。現地から来てたバンドにもリトル・チープ・トリックとかマテリアル・イシュー(90年代に活躍していたバンド、商業的失敗を苦にVo.が自殺。彼への追悼の意味、隠れた優秀なポップ・バンドを世に出さなくては、という意志のもとにデイヴィッド・バッシュが始めたのがI.P.O.で、タイトルのインターナショナル・ポップ・オーバースロウはマテリアル・イシューのデビュー・アルバムのタイトル。ちょっと泣かせる話でしょ)みたいだって言われてた。この後もさんざん色んなアーティストやお客さんに握手を求められたり話しかけられて、すっかり人気者になっていた。ちなみに磯山くんは「Fuckin' crazy man !!」とささやかれていた。この人は結局、どこに行ってもそうなのだ。
しかし、今日はこれで終りではないのだ。こんな騒ぎの中、永井くん英くんはいつの間にかかわいい女の子を発見、にじり寄っていく。彼女はとうとう永井くんに捉まってしまった。英語は話せないはずなのに、ふたりして話し込んでいる。「愛の力はすごいねー。」と遠くで見守るが、英くんは先を越されたのがそんなに悔しかったのか、至近距離でふたりを観察、そんなに近くで見なくても…。
会場を出るべく車に乗り込むが、永井くんはパーキングの入り口でまだ彼女と話し込んでいる…と思ったら「?! ?! ?! ?!」永井くんとうとう彼女から「ホッペにチュー」をもらってしまったのだ! もう、車の中は大騒ぎだったが、永井くんの頭の中も大騒ぎだっただろう。車に向かってダッシュで戻ってくる永井くんは愛らしかった。ルナパークを後にした私たちは吉田さんと一緒にレストランで食事、ここでも永井くんのロマンス話題で持切り、小さな恋のメロディーが心をかすめた夜だった。



何見てるの?



ポップだったりジョークが利いてる看板がいっぱい



バーバンクはのんびり



緊張気味のメンバー













うわっ!飛んだ!



ジョーイ・スティックと記念撮影



ノリスケの小さなロマンス